膀胱炎
膀胱炎
膀胱炎になると、以下のような症状があらわれます
- 排尿時痛・・・尿をするときに痛い
- 違和感・・・下腹部や陰部が、なにか嫌な感じがする
- 残尿感・・・排尿後もすっきりしない、おしっこが残っているような感じがつづく
- 頻尿・・・おしっこがちかい、おしっこの回数が増えた
これらの症状が一つのこともあれば、複数の症状が同時に起きる場合もあります。また、尿が白く濁って見えたり、血が混じったり(血尿)することもあります。つらい症状がつづきますが、熱はでません。しかし、膀胱炎を治療しないで病気が進行してしまうと、腎盂腎炎になり38℃を超える発熱がでてしまうこともあります。腎盂腎炎になってしまった場合は、抗生剤の点滴による治療や、入院での治療が必要になります。そのため、膀胱炎になった場合は早い時期に適切な治療を受けていただくことが大切です。
膀胱炎の検査
検査① 尿検査
膀胱炎が疑われたときは、尿検査を行います。検尿コップに採尿していただき、尿中の白血球反応、潜血反応、タンパク、糖などをチェックします。膀胱炎の場合、白血球反応や、潜血反応が陽性になります。
検査② 尿培養検査
尿検査とともに、尿培養検査を行います。これはとても大切な検査で、膀胱炎の原因となった細菌を特定し、さらにどの抗生剤が効くのか(薬剤感受性検査)を調べる検査です。尿培養検査は、抗生剤を飲み始めてしまったあとから検査をしても正しい結果が得られません。そのため、最初に受診していただいた際の治療開始前の尿で検査を行う必要があります。尿培養検査は、結果が出るのに1週間程度かかります。
膀胱炎を繰り返したり(反復性膀胱炎)、治療してもなかなか治らない(難治性膀胱炎)場合は、以下の検査を追加で行うことがあります。
検査③ 超音波検査
超音波検査では、膀胱内に残尿が多くないか、膀胱内に異物(膀胱結石)や腫瘍が存在しないかなどを調べます。
検査④ 尿細胞診
尿の中に癌細胞が混じっていないかを調べる検査です。尿検査と同じように検尿コップに採尿した尿を検査に提出します。尿細胞診検査は、結果が出るのに10日程度かかります。
検査⑤ 内視鏡検査
膀胱炎を繰り返すような場合は、内視鏡で膀胱内を確認する場合もあります。このような検査が必要と考えられる場合は、泌尿器科の専門医へ紹介させていただきます。
膀胱炎の治療
膀胱炎にたいして、抗生剤の内服治療を行います。通常はニューキノロン系や、セフェム系抗生剤を使用します。近年これらの抗生剤に耐性をもった細菌(薬剤耐性菌)が増えてきていると報告されています。抗生剤を内服しても膀胱炎が良くならない場合は、薬剤耐性菌に感染している可能性も考えられます。最初に処方された抗生剤で十分な効果が得られなかった場合でも、尿培養検査の結果があれば、有効な抗生剤を選択し変更することが出来ます。
膀胱炎の痛みが強い方には、一時的に鎮痛剤を併用することもあります。
膀胱炎を何度も繰り返す方には、予防のための漢方薬を内服していただくこともあります。
膀胱炎の原因
膀胱炎は、細菌が尿道から膀胱内に入ってしまうことによって引き起こされる病気です。細菌が膀胱内で増殖し、膀胱の粘膜に炎症を起こすことによって、さまざまなつらい症状が起こります。原因菌の約80%は、肛門周囲に多い大腸菌です。
女性は男性と比べて尿道が短いため、尿道から膀胱内に細菌が入りやすく、そのため膀胱炎は女性に多い病気です。(もちろん男性も膀胱炎になることはあります。)
細菌が尿道から膀胱内に入ってしまっても、直ちに膀胱炎になるわけではありません。ストレスや過労、エアコンで体が冷やしてしまたりして、抵抗力が弱っている時には膀胱炎にかかりやすくなります。また、尿意があるのにおしっこを我慢したり、仕事中で長時間トイレに行けなかった場合は、細菌が膀胱内で増殖する時間が長くなり、膀胱炎の原因となります。
妊娠、生理中など、女性ホルモンが変動している期間も、膀胱炎にかかりやすい時期です。
膀胱炎を繰り返したり、抗生剤を内服しても膀胱炎がなかなか治らない場合は、膀胱結石や膀胱癌が原因となっている可能性もありますので、泌尿器科専門医による診察が必要になります。泌尿器科専門医の診察を必要とする場合は、近隣の基幹病院を紹介させていただきます。
膀胱炎の予防
- 陰部を清潔に保つようにしましょう。
- 排尿後のペーパーは、前から後ろへ拭くようにしましょう。逆向きに拭くと、肛門周囲の細菌が尿道から膀胱へ入ってしまいます。
- ウォシュレットを強く当てすぎないようにしましょう。大腸菌が水圧で尿道から膀胱内に押し込まれてしまいます。
- 性交渉の際に尿道から膀胱内に細菌が入ってしまうことがあります。性交渉の後には排尿して、膀胱内を空っぽにするようこころがけましょう。
- 膀胱に尿がたまっていると、細菌が増えやすくなります。トイレを我慢しないようにしてください。3-4時間毎に排尿し、膀胱内の細菌を排出するようにするようにしましょう。
- 水分を多くとるようにしましょう。尿量が増えて、トイレの回数が増えれば、膀胱内の細菌もそのたびに排出されるようになります。
- ストレスを避け、体調と生活リズムを整え、抵抗力が落ちないようこころがけましょう。
- 便秘気味の人は膀胱炎になりやすいと言われています。便秘にも注意しましょう。