噯気(げっぷ)
噯気(げっぷ)

げっぷは、噯気(あいき・おき・おくび)とも呼ばれ、何かを秘密にして全く明かさないことを、「おくびにも出さない」といいますが、その「おくび」は、「げっぷ」のことを指します。
日常でも自然に起こる現象ですが、あまりに頻繁だと病気のサインかもしれません。
国際的な診断基準であるRome IV基準によれば、噯気(げっぷ)は「食道または胃から咽頭へ空気が可聴的に逆流する現象」と定義されます。健康な状態でも起こりますが、週に3日以上で、日常生活に支障を来すときは「過剰噯気症(excessive belching)」と診断されます。
| 種類 | 起点 | 機序 | 臨床的意義 |
|---|---|---|---|
| 胃性噯気 | 胃 | 一過性下部食道括約筋の弛緩(TLESR) → 食道 → 咽頭 | 正常な生理現象。GERDに合併しやすい |
| 食道上部性噯気 | 食道 | 空気吸引または咽頭からの空気注入により、胃を介さず咽頭へ | 行動習慣や心理因子と関連。病的意義大 |
| 空気嚥下症 (Aerophagia) |
咽頭~胃 | 空気の過剰嚥下により胃腸ガスが増加 | 放屁・膨満感が主体。噯気はむしろ少ない |
日本人の健診受診者では、6.1%が頻回の噯気(げっぷ)の訴えを有しており、比較的女性に多く、機能性ディスペプシアや不安障害、睡眠障害との関連が指摘されていて、決して稀ではない症状です。
炭酸飲料
胃内ガス増加による胃性噯気(げっぷ)の誘発
早食い・会話中の飲食
空気嚥下量の増加により噯気(げっぷ)・膨満感が増悪
ストレス、不安
Supragastric belchingの増悪因子。自律神経系を介した影響
| 検査 | 目的 |
|---|---|
| インピーダンスpHモニタリング | 胃性 vs 上部性の鑑別(空気の流れの方向とpH変動) |
| 高解像度食道内圧検査(HRM) | 食道運動異常の有無、括約筋機能の評価 |
| 腹部画像検査(CT、腹部超音波検査など) | 腫瘤・胃拡張・裂孔ヘルニアの評価 |
| 上部消化管内視鏡 | 噯気(げっぷ)に伴うGERDや食道炎の評価(Alarm症状があるときに限定) |
これらが見られるときは、血液検査や内視鏡検査などで、他の病気が隠れていないかを確かめる必要があります。
注意:本文の内容には細心の注意を払っておりますが、あくまで参考情報としてご活用ください。本内容をきっかけとした自己判断等により生じた体調悪化などの不利益の責任を負うものではありません。必ず、主治医・かかりつけ医等、医師の診察により自身の病状を判断いただき、適切な検査・治療方針を決定してください。
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