急性胃炎・潰瘍性大腸炎・虚血性腸炎
急性胃炎・潰瘍性大腸炎・虚血性腸炎

突発的に胃の粘膜に炎症が起こる病気です。暴飲暴食、アルコール、ストレス、薬(痛み止めなど)、細菌やウイルス感染が原因となります。
胃内視鏡検査は急性胃炎の診断において極めて重要な検査であり、胃粘膜のびらんや出血、潰瘍の有無を直接確認できる唯一の方法です。特に、急性胃粘膜病変を正確に診断するためには欠かせない検査であり、病変の範囲や重症度の把握にも役立ちます。
数日で回復することが多いですが、嘔吐や下痢が続き脱水が強い場合には早めの受診が必要です。
潰瘍性大腸炎は、原因不明の大腸に炎症を生じる疾患で、炎症性腸疾患の一つです。大腸の内側の粘膜に炎症が生じ、びらんや潰瘍(ただれ)が形成されます。この炎症は通常直腸から始まり、次第に上行して全ての大腸を広がることがあります。自己免疫の異常や腸内環境の乱れが関与していると考えられています。20〜30代の若年層にも多く、厚生労働省により指定難病に認定されています。
症状は個人差があり、一時的に軽快することもありますが、再発することがあります。
感染性腸炎など、別の疾患を否定するために細菌培養検査が実施されます。また、腸管の炎症の程度を判断するためにバイオマーカーとして、便中カルプロテクチンの測定を行うことがあります。
診断に必須の検査であたり、大腸粘膜のびまん性(ムラがなく、一面に広がっている)炎症や潰瘍を確認したり、病理組織検査で比較的特徴的とされる所見を確認することで、診断を行い、また、その重症度を確認します。ウイルス性胃腸炎の関与の可能性やがんの可能性が疑われるときには組織を採取して、同時に、病理組織検査を実施します。
白血球数やCRPで炎症を評価したり、血便の経過によって生じる貧血の有無や程度を評価します。薬物治療中は、副作用をチェックする目的に肝機能や腎機能などを調べたり、経過が長いときには栄養状態などの評価も行います。
軽症であれば、炎症を抑える薬(5-ASA製剤)を使用します。直腸炎型といって、直腸のみに炎症が認められるときは、坐剤や注腸製剤による治療を行います。
5-ASA製剤の効果が不十分な場合は、副腎皮質ステロイドの内服や局所投与が選択されます。副腎皮質ステロイドは即効性があり、炎症抑制に優れる薬剤で寛解導入に使用しますが、症状が無くなった状態を維持する(寛解維持)効果はないため、計画的に減量し中止していきます。
副腎皮質ステロイドでも十分な効果がない場合には、免疫反応を抑制する免疫調節薬や免疫抑制剤のほか、抗TNFα抗体、Janus kinase(JAK)阻害薬、インテグリン阻害薬、IL-12/23,IL-23阻害薬、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体調節薬や、血液中から免疫異常に関連する炎症細胞を取り除く、血球成分除去療法などの治療方法から適切なモノを選択して治療を行います。
出血が重篤だったり症状が極めて重いときは、入院による治療を行ったり、ときに外科手術で大腸を全摘することもあります。
寛解が維持できれば社会生活に不自由はありませんが、再発することもあるため、治療の継続と、定期的な受診や検査が大切です。
大腸腸粘膜のに流れる血流が便秘などが原因となって一時的に悪くなり、腸粘膜に炎症や潰瘍が生じて出血をきたす起こる病気です。高齢者や循環器系の疾患を持つ人に多く見られます。便秘が契機となることが多いですが、便秘の程度は様々で、便秘が見られないこともあります。
内視鏡検査は、虚血性腸炎の診断に非常に有効な方法です。カメラを取り付けた細長い管を使用して、腸の内部を直接観察することができます。この検査により、腸の内壁の炎症や潰瘍、出血などの異常を詳しく確認することができます。
炎症のマーカーや赤血球数などを調べることで、虚血性腸炎の存在を確認することができます。
腸の状態や血流の異常を詳しく観察することができます。
虚血性腸炎の治療は、病状の重さや原因によって異なります。多くは一過性型であり、腸管安静と十分な水分・栄養の補給が必要です。
狭窄型や壊疽型といった症状が重い場合には入院や外科手術が必要となることもあります。
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